損保ジャパン日本興亜が取り組む被災地オフセット


保険会社の使命と環境保全への取組み

保険会社の役割は、お客さまが抱えるさまざまなリスクを引き受け、万が一のことが起こった際は迅速でていねいに対応することです。 お客さまのリスクをしっかりとカバーする質の高い保険商品・サービスを、お客さまの身近な存在として活動する代理店を通してご提供する、これが損保ジャパン日本興亜の考えです。

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http://www.sjnk.co.jp/

 

また、地球温暖化や生物多様性の喪失などの環境問題、エネルギー、健康・医療の問題から、貧困、食糧危機・水不足、途上国での交通事故増加など、世界には複雑で解決が困難な社会的課題が多数存在しています。

これら山積する社会的課題の解決に率先して取り組むことも、企業として、保険会社としての責任であると考えています。 近年、自然災害による経済的損失や保険損害は増加傾向にあります。

今後も極端な異常気象などによる自然災害が頻発すれば、お支払いする保険金の増加、それに伴う保険料の上昇といった影響を及ぼしかねず、安定して保険を提供することが難しくなる可能性もあります。

そこで、当社ではこうした事態を回避し保険を安定して提供するという保険会社の社会的使命を果たすために、地球温暖化防止に率先して取り組むべきであると考えています。 当社は1990年に「地球環境室」を設置して環境問題に対する本格的な取組みを開始して以来、現在まで本業に組み込みながら気候変動の適応と緩和に関するさまざまな活動を続けています。

 

筆者:ECOLOGライター(損保ジャパン日本興亜HD 須山 直樹)
(この記事は弊社発行媒体「環境パートナーズ(2014年7月号)」より再編集して掲載しています。)

保険事業における低炭素社会の実現に向けた取組み

当社ではCO2排出量削減につながる保険商品・サービスをお客さまに提供するなど、低炭素社会の実現に向けた取組みを本業である保険事業に組み込み、目標管理を行っています。

 

保険約款のペーパーレス化でカーボン・オフセットを実施

自動車保険において、保険約款などをペーパーレス化する「Web約款」を導入しており、 対象となるご契約のうち約7割においてご利用いただくなど紙の使用量削減に大きく貢献しています。

利用率を高めるために、自動車保険でお客さまが「Web約款」などをご選択された場合は、当社が1件当たり一定額を負担し、 国内の森林整備や国連認証の再生可能エネルギープロジェクトにより創出された排出権の購入を通じたカーボン・オフセットなどを実施することで、低炭素社会の実現に貢献しています。

 

環境にやさしい自動車の修理でカーボン・オフセットを実施

保険事故対応におけるCO2削減の取組みとして、車両保険事故の修理における樹脂バンパー補修やリサイクル部品(エコパーツ)活用を推進しています。

これらの取組みにより産業廃棄物が削減できるだけでなく、新品部品を使う場合と比較してCO2の排出量削減にもつながります。 利用率を高めるために、車両保険において樹脂バンパーを部品交換ではなく補修していただいた場合や、エコパーツを活用していただいた場合は、当社が1件当たり一定額を負担し、 国内の森林整備や国連認証の再生可能エネルギープロジェクトにより創出された排出権の購入を通じてカーボン・オフセットなどを実施しています。

 

オフセット・クレジット(J-VER)を活用した復興支援型の森林オフセット

当社はお客さまの温室効果ガス排出量削減を支援するため、2008年9月より損害保険業界でいち早く保険商品・サービスに関連したカーボン・オフセットを実施してきました。 2012年4月からは、被災地の早期復興と環境にやさしい地域づくりに貢献することを目的に、被災地における「低炭素型復興プロジェクト」の支援を通じて、カーボン・オフセットを実施しています。

支援する被災地の低炭素型復興プロジェクトについては、環境省が促進しているオフセット・クレジット(J-VER)制度を活用した復興支援と連携した公募を行いました。 2012年8月には、宮城県庁において採択しました8プロジェクトの代表者にお集りいただき、カーボン・オフセットに関する調印式を行いました。

支援対象のプロジェクトは、「被災の程度」、「プロジェクトの推進による雇用の創出効果や地域経済の活性化」、 「温室効果ガス削減・吸収以外の生物多様性保全・国土保全・水源涵養などの相乗効果(コベネフィット)」そして「復興への貢献度」などを評価し採択したものです。

採択された8件のプロジェクトのうち、7件は被災地の森林整備によりCO2吸収量の拡大を図るもので、残りの1件は「がれき」を選別して木質バイオマス燃料として活用する広域プロジェクトです。 このプロジェクトでのJ-VERによるオフセット量は合計8,000t-CO2で、これは東京ドーム約219個分のスギ森林が1年間に吸収するCO2量に相当します。

J-VERによる8,000t-CO2オフセット量は、日本で最大規模のものとなりました(2014年4月時点)。 当社は引続き、被災地の早期復興と環境にやさしい地域づくりに貢献するため、被災地の低炭素型復興プロジェクトなどを支援してまいります。

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