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2017.03.05

改めて「パリ協定」を考えるにあたっての世界秩序の矛盾

オーエスラボ株式会社 代表取締役


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地球温暖化対策を真剣に進めるその背景に、とんでもない落とし穴があるとするなら、私たちはどのような行動をとるべきでしょうか。この後、「パリ協定」「ESG」「座礁資産」、さらに深く「パナマ文書」について触れようと考えていますが、結局、国ならびに経済活動のあり方を掘り下げることになります。それには、タックスヘイブンと言う闇(例えば、テーブルの上で1ドルの支援を申し出るが、アンダーテーブルでは10ドルを引き抜くやり方)に触れないわけにはいかないということです。経済と環境保全対策は切っても切れない関係にあります。

どうも「パナマ文書」は、“大規模”による負の経済活動を進めている実態が、この地球上にあることを証明することになりそうです。こうした負の実態の解明と、世界の経済社会の仕組みを徹底的に作り直さなければ、私たちは、地球を守ることは極めて難しいと考えます。

私達は、環境汚染問題を忘れていたのではないでしょうか。人類の驚異的な増加、それに伴い地球資源消費の激増の結果、温暖化のみならず化学物質による深刻な汚染も同時に進行していることは事実です。

素朴な疑問ですが、日本では水俣の水銀汚染や神津川流域におけるカドミウム汚染など、激甚公害を経験しましたが、人口の桁が違う中国やインドの経済発展は、日本が経験した内容よりも、より深刻であることは想像に難くありません。これらの国々がしっかりした汚染対策をしている事実は、未だかつて確認はできていないのが実態です。単純にマスの比較をしただけでも、経済的な発展の意味するところは、桁違いの環境負荷の大きさは想像できます。

経済至上主義の実態を見せられている状況は、一方で日本とは比較にならない汚染問題を引き起こしていることは間違いないところでしょう。相対的に日本の環境の良さを考えると、他国の環境問題に関心を示さなことも納得できます。エネルギー使用量の増加が、温暖化を促進させていることへの関心はあるものの、化学物質汚染の問題については、関心を示さないことから、実感できていないのが実際ではないでしょうか。

日本は、1968年に米国のニクソン大統領に脅かされていなかったら、今日の環境改善は実現できなかった。しかし、他国はこうした脅しをかける人、国がないのは如何にも残念に思うのは、私だけでしょうか、温室効果ガスの増加は、一方で化学物質の汚染も深刻であることを物語っています。私達が抱える地球環境問題は、温暖化だけではありません。多様性を語るほどに、汚染問題も多様な形で進行していることを忘れてはならないと考えます。

この記事の著者
谷 學

谷 學

オーエスラボ株式会社 代表取締役
環境事業支援コンサルタント・経営士・環境経営士。元グリーンブルー株式会社代表取締役。日本の公害対策の草創期より環境測定分析の技術者として、環境計量証明事業所の経営者として、環境汚染の改善及び業界の発展のために邁進。2007年には経済産業大臣より計量関係功労者表彰を、2013年には経営者「環境力」大賞を受彰。50年にわたる環境問題への取組み実績を持つオピニオンリーダー。

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