国内で23年ぶりの大型地熱発電所の建設が始まった秋田県湯沢市で北海道から九州まで全国8つの地熱自治体の代表者と伊勢谷友介さん、壇蜜さん、山崎亮さんが、今注目の再生エネルギー“地熱の可能性”について本気の白熱トークをする、全国地熱自治体サミット in 湯沢(沸騰!地熱塾 於:2015年8月7日(金) 湯沢グランドホテル)が開催されました。
サミット会場は満員に
国内で23年ぶりの大型地熱発電所となる「山葵沢地熱発電所」。その建設が進む秋田県湯沢市で、あらためて地熱とは何か、そして私たちの街にどのようなことをもたらすのか──。
全国の地熱エリアの8つの自治体の代表者と、俳優・映画監督の伊勢谷友介さん、秋田県出身で女優・作家の壇蜜さん、コミュニティデザイナーの山崎亮さんが登壇され、会場は満員に。
全国の大型地熱発電所を持つ8自治体の代表者が先行事例を紹介
サミット冒頭では、地熱資源を活用した地域での取り組みについて、全国の大型地熱発電所を持つ8自治体の代表者が先行事例のプレゼンテーションを行いました。また、このプレゼンテーションを踏まえて東京大学教養学部客員准教授の松本真由美先生のファシリテーションのもとパネルディスカッションを実施しました。これらのプログラムを通じて、各自治体が地熱資源が地域にもたらす価値を積極的に活用しようとするなかで、それぞれの地域性を活かした取り組みを地域と一体になって推し進めていこうとする姿が浮き彫りになりました。
◆北海道農業の一端を地熱の力を借りながら担い続ける
(北海道 森町 農林課長 宮崎渉)
北海道南部に位置する森町では、1982年に森地熱発電所が運転開始をしたことから、地域全体での地熱水の有効利用に取り組み、発電後に地下還元井に戻す還元水の一部を、農業用ハウスに供給しています。熱交換施設の維持費は16軒の農家で構成されている地熱利用ハウス組合が全額負担し、トマトやきゅうりを生産。同組合の野菜出荷額のうち地熱利用の割合はトマトで42%、キュウリは54%を占めるに至っています。近年は施設の老朽化などが課題となっていますが、新たな売上の確保も目指し、北海道農業の一端を担い続けていきたいと考えています。
◆約半世紀かけて出稼ぎの町を一大温泉郷へ
(岩手県 八幡平市長 田村正彦)
八幡平市の松川地熱発電所は、1966年に国内で初めて商業用の地熱発電に成功した発電所です。発電所の周辺は、もともと冬になると出稼ぎに行かなければ経済的に成り立たない地域でしたが、発電所から配湯する温泉を核とした観光エリア化を計画し、現在は年間20万人以上の人が訪れる温泉郷に成長しました。さらに農業者の高齢化が進むなか、若い世代による新たな取り組みもはじまっています。企業組合「八幡平地熱活用プロジェクト」が運営する「ジオファーム八幡平」の温泉熱を用いた馬ふん堆肥生産やマッシュルーム栽培は、その代表的な例です。現在八幡平市では、市内3ヶ所で新たな地熱発電の事業化に向けた調査を行っています。これまで事業仕分けや、環境整備などの問題から、何度か頓挫しそうになりましたが、地熱の可能性を信じ、市民とともに課題に取り組んでいきたいと思います。
◆地熱水の可能性を信じ、若い世代が活躍する町づくりに挑む
(岩手県 雫石町 副町長 米澤誠)
雫石町の葛根田地熱発電所は1号機の運転開始後、1980年度から25年間にわたり、地熱熱水を多目的に利用する地熱熱水供給事業の実証調査を行いましたがコスト的な問題から経済性の確保が難しく調査が終了するという経験をしています。しかし雫石町では、農業者の後継者不足、若い世代の都市部流出という課題を抱えるなかで、地熱水の活用方法の開発などを通じて課題を克服できれば、若い人たちが活躍する町になっていくのではないかと期待しています。そのために現在、温泉事業者、農業者などによる町民会を設立し、地熱水を活用した持続可能なビジネスモデルをつくっています。
◆市民・行政・事業者の信頼関係の上に築かれた地熱の街づくり
(秋田県 湯沢市長 齊藤光喜)
雄大な自然と豊富な温泉群に恵まれた湯沢市では、「ゆざわジオパーク」を形成し、官民と地域が一体となった地熱の情報発信を行っています。本年5月から「山葵沢地熱発電所」の建設が新たに開始されましたが、ジオパーク活動との連携を図りながら情報発信することで、観光客の増加も期待できると考えています。また、湯沢市では地熱資源を農業に活用しています。1979年に地熱を利用した食品乾燥機を農産加工施設に導入し、さまざまな野菜が乾燥加工され、物産品として人気を集めています。また地熱を利用した農業用ハウスでは、大手コンビニエンスストアと協定を締結し、トマト栽培の実証事業を共同で開始いたしました。これまでの経験から地熱資源の開発は、市民の皆さま、行政、事業者の信頼関係の上に築かれるものだと実感しています。
◆温泉の利用を学び、遊べる「温泉エネツーリズム」を目指して
(宮城県 大崎市長 伊藤康志)
大崎市の鬼首地熱発電所がある鳴子温泉地域は、370本の源泉を有し、全国にある11種類の泉質のうち、9種類を有する国内屈指の温泉地です。鳴子では古くから温泉を道路融雪や給湯・暖房など浴用以外に利用してきましたが、その温泉熱導入の効果について調べたところ、鳴子温泉地域の40の宿泊施設のうち、23施設で温泉熱を利用し、これに排湯や共同湯の利用を加えた化石燃料の削減効果は、灯油換算で200Lドラム缶9,897本分に達したほか、灯油と買電の代替金額が約1.26億円/年、二酸化炭素の削減量が4,936t-CO2/年となっていたことがわかりました。さらに現在、鳴子温泉地域では、「温泉エネツーリズム」をテーマに、温泉に入るだけでなく、温泉の利用を学び、遊べるところを目指してさまざまな試みが行われています。今後も大崎市では観光客の増加、産業振興、雇用拡大などを目指した地熱資源の有効活用について、官民一体となり検討を行っていきます。
◆地熱発電の存在が地域の伝統復活に貢献
(福島県 柳津町長 井関庄一)
柳津町の柳津西山地熱発電所は、日本の地熱発電所のなかでは単一ユニットで最大の出力となる65,000kWを誇ります。また「永続地帯2014年度版報告書」によると、柳津町は全国の市町村別の再生エネルギー自給率で5位に位置づけられています。この地熱資源を活用した町おこしを構想し、これまでPR館の設置やひと味違う温泉体験として川の浅瀬に自分で温泉を掘る「マイ温泉」などを開いています。これらはいずれも地熱の恩恵によるもので、こうした体験や滞在への取り組みを、町としても強化しています。また、地熱発電所の存在が予想していない効果を生み出しています。それは若い世代が、地域の伝統を復活させようとする動きが出てきたことです。消失していたお祭りも彼らの働きによって復活させることができました。復活を成し遂げた人々のなかには地熱発電所で働く地元の若い人たちもおり、この動きに地熱発電所も一役買っていると考えています。
◆温泉にとどまらない地熱資源の活用で名物料理が誕生
(大分県 九重町長 坂本和昭)
九重町は八丁原地熱発電所、滝上地熱発電所、大岳地熱発電所、菅原バイナリー発電所の4つの地熱発電所を有する地熱の街です。このうち本年6月に運転開始した菅原バイナリー発電所は、町が民間企業と協働して地熱発電事業を行う国内初の事例です。これらの地熱の資源を活かし、地熱発電所から、一般家庭や宿泊施設に分湯を行っているほか、八丁原地熱発電所については九州電力と九重町で第三セクターをつくり、温泉供給を行っています。しかし、今は温泉だけでは観光にいらしていただけません。温泉にプラスが必要で、特に食べるものが重要です。そこで発電所から蒸気を供給してもらい「蒸場」をつくり、名物料理「極楽温鶏地獄蒸し」を提供しています。非常に美味しく、脂も落ちているのでヘルシーだと、観光客の皆さまから大変好評をいただいています。
さらに来年度には新たなバイナリー発電所が稼働を開始する予定となっており、地熱資源を生かした町づくりをさらに推進していきたいと考えています。
◆トラブルを踏まえて、新たなビジネスモデルを創造
(鹿児島県 指宿市 副市長 佐藤寛)
指宿市では、2012年に導入された固定価格買取制度により地熱発電事業者の参入が相次ぎ、地元の市民とのトラブルが発生しました。これを受け、乱開発の防止、温泉事業者との対立などを考え、昨年末に温泉を市と市民の共有資源という前提のもと、温泉資源の保護と持続可能な活用と産業の振興を目的に協議会を設立しました。協議会の活動の一環である「地熱の恵みプロジェクト」では、温泉資源を電気事業者に貸与し、得られた地熱水などを観光や六次産業などへの有効利用を進めることを計画しています。プロジェクトのスタートとして、本年5月に温泉資源を貸与する電気事業者を公募により採択し、2カ所の市有地で地熱発電所の建設を推進することが決定しました。これらの発電後の熱水は温泉施設や老人福祉センターで利用できるようにする予定です。
伊勢谷さん、壇蜜さん、山崎さんによるトークショー
各地熱自治体の代表者によるプレゼンテーションなどを通じて、地熱の活用法や地域の抱える課題について見識を深めたゲストの伊勢谷さん、壇蜜さん、山崎さん。ステージでは、3人によるクロストークが展開され、自治体とはまた異なる視点から、活発な意見が飛び交いました。
◆未来の人に喜んでもらえるアクションを。まずは地熱を知ることが大切。
― リバースプロジェクト代表・俳優・映画監督 伊勢谷友介さん
これだけ多くの方が地熱に取り組んでいるということは、素直にうれしいと思いました。これからは自然エネルギーの発展に向けて、多方面からのアプローチが必要です。僕は、未来を見据えて、現状を変えていくことが必要だと常々考えていますが、そのためには、地熱のような魅力ある再生エネルギーの可能性をもっと多くの方に知ってもらうことが大事ですよね。みんなが地熱の優位性を理解し、それをどう活用すれば生活が豊かになるのか、未来がよくなるのかということを考えることは、日本全体の自然エネルギーの供給量を上げることにもつながると思います。そしてそのことは、未来の人からほめられることだと思います。
希少なものを使い切る、直らないものを壊す──これでは未来の人が困るだけです。みんなのアクションが未来の人を喜ばせることにつながる、そこに地熱という素晴らしいエネルギーが活用されている、そんな動きが生まれることに期待したいですし、僕も考え行動していきたいと思います。
◆地域の課題を改善できる可能性がある幸運の鍵「地熱」の愛情を受け止めて。
― 女優・作家 壇蜜さん
全国の地熱自治体の皆さんのお話を伺って、地熱発電にはまだ完成形はなく、各自治体がそれぞれ試行錯誤されているということがよくわかりました。そのなかでも地熱を活用し温泉郷をつくったり、農業支援を行うことで、冬場に出稼ぎをしなくてもよくなったという事例は素晴らしいと思いました。地域から人が出て行くことは、出ていく人それぞれに事情があるとは思いますが、いずれにしても地域にとっては大きな損失だと思います。地域の人々が充実した生活を送り、地域に誇りを持つことができる──そこに貢献できる力が地熱にはあるということは、とてもすごいことだと感じました。地域が地熱に恵まれているということは、とてもラッキーなことだと思います。その幸運を愛情として受け止め、伝えていく活動が大事だと感じました。
◆小さくても充実した生活が送れる街づくりに、地熱は関与できる力がある。
― コミュニティデザイナー 山崎亮さん
日本では人口減少に伴う、マイナスの効果が危惧されています。しかし明治の初めに3,500万人~4,000万人だった当時の日本は、マイナス面ばかりをもった国ではなかったと思います。もちろん現在の社会構造のまま人口が減ることは問題です。だからこそ、その構造に目を向けなければなりません。「縮絨(しゅくじゅう)」という言葉があります。織物の仕上げで組織を小さく緻密にする工程を指しますが、日本は縮絨を考えるべきかもしれません。人口減少が続く中、街の定住人口を増やすことは難しいと思います。例えば、何人暮らしているではなく、充実した暮らしを送っている人が何人いる──この「縮絨」ならぬ「縮充」の視点から考えると、今までとはまったく異なる発想で、街の魅力づくりを考えることができるのではないでしょうか。そしてこれに地熱が関与できる力を持っていると思います。
◆壇蜜さんの美肌は、湯沢の地熱のおかげ?!
3人のゲストのトークの後に行われた、壇蜜さんと湯沢市 齊藤光喜市長とのトークセッションでは、幼少期を秋田の祖母の元で過ごしたという壇蜜さんが、「考え方や食の好みなど、祖母のいる秋田の趣あるものに影響を受けたことから、秋田にゆかりを感じています」と語りました。壇蜜さんはまた、思春期の頃に湯沢の温泉で皮膚の治療をした思い出のエピソードを紹介し、「私の一部は、湯沢の地熱でできています」と地熱の力を自ら体感していることを話してくださいました。
次世代を担う若者の視点から討論会も
◆若い世代の視点から― 「市民討論会」「次世代による地熱利用研究発表」
日本における地熱の本格的な活用は、今後の加速が期待されています。エネルギー資源としての活用はもちろんですが、地熱開発が進むことで、地熱地域に住む人々の生活が将来的に豊かになっていくことも期待できます。「全国地熱自治体サミット in 湯沢」では、地熱が地域にもたらす付加価値を次世代を担う若者の視点から発言する場として「市民討論会の報告会」や地元高校生による「次世代による地熱利用研究発表」を行いました。
◆伊勢谷さん、山崎さんがスペシャルアシスタントとして参加した「市民討論会」
「市民討論会」は、サミットが開催された日の午前中からスタート。地元秋田県の秋田大学や国際教養大学の学生さん、秋田県立湯沢翔北高校の皆さん、湯沢市の青年会議所や商工会議所青年部また事業者の皆さんらが参加しました。さらに、スペシャルアシスタントとして、伊勢谷友介さん、山崎亮さんらも参加。3チームに分かれ、それぞれのテーマに対して、地熱を活用してどのような取り組みが可能かをディスカッションし、その検討結果をステージで発表しました。
Aチーム:若手が活躍できる街づくり
「地熱を地域熱」に変えていくというコンセプトを発表。若手の活躍の拠点にするためのエコハウス作りや、若手教育としての留学体験、雇用創出のための、地熱を利用したハウス栽培やウナギの養殖などが提案されました。
Bチーム:売れるモノづくり
源泉掛け流しと空き家を利用したAirbnb(民泊)、さらにネガティブに捉えられがちな湯沢の雪深さを活用し、雪下ろしやスノーモービル体験を通して、雪に馴染みのない地域の方々を呼び込む提案をしました。
Cチーム:観光など人が集まる街づくり
インフォグラフィックスを活用し、湯沢市の過去、現在、そして未来への推移を可視化するプロジェクト「Visionalist」を発表。湯沢市の現状を把握することで得た情報を、山葵沢地熱発電所に隣接したエッジのたったPR館で提供することを提案しました。
◆「次世代による地熱利用研究発表」(秋田県立湯沢翔北高校商業クラブ)
授業で学んだ商業の知識や技術を活かし、高校生ならではの視点で『地熱のブランド化』プロジェクトに取り組んでいるのが、秋田県立湯沢翔北高校の商業クラブです。サミット当日は、これまで活動成果についてプレゼンテーション。特に、2013年度から挑んだ「農商工連携」のビジネスモデルの研究から生まれた地熱で乾燥させたサクランボ“ミッチェリー”の生産と販売に力を入れていると説明しました。最後は「湯沢市全体が地熱で活性化するよう、地域の良さを伝え、地域を創り、地域を結ぶ活動を継続していきます」と力強く語りました。
サミットを振り返って
夏の暑さに負けないぐらい熱い議論を交わした「沸騰!地熱塾 ― 全国地熱自治体サミット in 湯沢」。会場の客席では熱心に話に聞き入りうなずく人、若い人たちの真剣な発表に大きな拍手を送る人など、まさにステージと客席が一体となって地熱について学び考えた1日でした。朝から市民討論会そしてステージプログラムと精力的に本サミットに参加してくださった、伊勢谷友介さんと山崎亮さんは、最後に以下のように会場のなかで訴えかけました。
自分がどうあるべきか考えて、一緒に素敵な未来をつくりましょう。
(伊勢谷友介さん)
僕は、人類が地球に生き残るためにはどうするべきかを考え、未来における生活を新たなビジネスモデルと共に創造していく活動をリバースプロジェクトで株式会社としてやっています。そこではお金を先に求めるのではなく、未来を先に求めています。よい未来をつくるために利用するのがお金です。今日のこの場をきっかけに、私たちがどういう状況に置かれているかを知り、どうあるべきかを考えれば、日頃の生活にも目的が生まれるはずです。いま悪い状況にあるにも関わらず、何も行わないことは、未来から見ると悪です。そうならないために、自分がどうあるべきか考え、皆さん一緒に素敵な未来をつくっていければ思います。
地熱を地域の豊かさにつなげるためには、行動のバランスを考えることが大切。
(山崎亮さん)
地熱で発電し、経済を活性化し、雇用を生む。それはとても大切なことです。しかし、果たしてそれだけで街が豊かになるでしょうか。経済が好転し、雇用が生まれても、言われたことを言われたままに行う労働が増えただけでは、人生も街も豊かにならないと思います。あるドイツの哲学者は、人の行動を「労働・仕事・活動」の3つに分類し、一番高い次元に位置するのは、対価がなくても未来のために理想とすることを実現する「活動」だと言っています。その定義の善し悪しは別にして、労働と仕事と活動、そのバランスを考えながら、地熱を地域の豊かさにつなげていかなければいけません。それぞれの地域が地熱というキーワードのもと、うまい塩梅をどうやって見つけ出していくのか、その未来に期待したいと思います。
また、主催者であるJOGMEC 副理事長 黒木啓介氏は、
「日本国内で地熱資源に恵まれた地域は限られており、地熱と地域の共生を強く意識することが肝要です。地熱に恵まれた地域には、それぞれ特有の課題がありますが、高齢化や人口減少、産業の振興など共通の課題もあります。国内を代表する地熱地域の地方自治体の方々にお集まりいただき、地熱資源を有する各地方自治体の課題と“地熱の付加価値”について考え発信していく、実り多きサミットが開催できたことを喜ばしく思います。」
湯沢市長 齊藤光喜氏は
「北海道から九州に至るまで、地熱地域の自治体の方々とともに、地熱をめぐる現状や課題、展望を共有できました。地熱は国策に貢献できるだけではなく、地元にとっても有益なものであると考えられます。今回のサミットはひとつの出発点です。これからも、自治体同士また地熱地域の住民の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さんと知恵を出し合い、地熱を生かす努力を続けたいと思います。」とそれぞれコメント。
(2列目 左から)北海道 森町 農林課長 宮崎渉、岩手県 八幡平市長 田村正彦、岩手県 雫石町 副町長 米澤誠、宮城県 大崎市長 伊藤康志、福島県 柳津町長、井関庄一、大分県 九重町長 坂本和昭、鹿児島県 指宿市 副市長 佐藤寛
(1列目 左から)山崎亮さん、壇蜜さん、経済産業省 資源エネルギー庁 燃料政策企画室長 森田 健太郎、JOGMEC副理事長 黒木 啓介、秋田県 湯沢市長 齊藤光喜、伊勢谷友介さん、東京大学教養学部 客員准教授 松本真由美
■開催概要
1.日時:2015年8月7日(金) 13:00~18:00
2.場所:湯沢グランドホテル
3.主催:独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)/秋田県湯沢市
4.後援:資源エネルギー庁、秋田県、日本地熱協会、秋田魁新報社、秋田大学、国際教養大学
5.参加自治体:(1)北海道 森町、(2)岩手県 八幡平市、(3)岩手県 雫石町、(4)秋田県 湯沢市、(5)宮城県 大崎市、(6)福島県 柳津町、(7)大分県 九重町(8)鹿児島県 指宿市
6.来場者数:382人
7.開催テーマ:「地熱の付加価値利用による地域活性化」
◆世界第3位のポテンシャルをもつ日本の「地熱エネルギー」への期待東日本大震災から3年が経過した昨年4月、我が国では「エネルギー基本計画」の閣議決定がされ、その中では再生可能エネルギーについて最大限導入を図るとされています。特に安定的な地熱エネルギーはベースロード電源と位置づけられ、世界3位のポテンシャルを持つ電源として期待が高まっています。本年7月には環境省が国立国定公園内における地熱資源開発のための優良事例をとりまとめ、さらなる規制緩和の方向性が決定されました。これにより我が国の資源ポテンシャルの7割まで、地熱資源開発を推進することが可能となりました。
◆国内で23年ぶりの大型地熱発電所の建設が始まった「地熱の街・湯沢市」
開催地となった秋田県湯沢市は、地熱資源に恵まれ、上の岱(うえのたい)地熱発電所が1994年から稼動しているほか、本年5月からは、国内で23年ぶりの大型地熱発電所となる山葵沢地熱発電所の建設が開始されました。また、新たな地熱発電を目指した調査も行われています。さらに発電以外では、農産物の生産や食品の加工などの地熱利用が活発なことから、今回の開催テーマである「地熱の付加価値利用による地域活性化」に相応しい街だと考えました。
◆全国の地熱自治体首長が集結し、地熱資源開発を通じた地域活性化の可能性を議論
現在、地熱発電所を有する自治体はもとより、国内には数々の自治体が、地熱資源開発に関心を寄せ、その可能性を探っています。各自治体が、地熱開発に関心を寄せる理由は、売電や発電所における雇用創出もありますが、それ以外にも地熱・熱水の利用による観光振興・産業振興・農業振興など多くの効果を地熱開発がもたらし、魅力ある地域づくりにつながると考えているからです。
今回、全国8つの地熱自治体が一堂に会する初の試みとなった「全国地熱自治体サミット」では、こうした地熱の付加価値によってもたらされる地域活性の可能性について、実際にその利活用を実践している地熱自治体の報告を踏まえ共有と進化を図ろうという考えのもとに開催しました。
◆伊勢谷友介さん、壇蜜さん、山崎亮さんをはじめ、地熱や地域活性に強い関心と知見をもつゲストの積極的な協力
今回の「地熱自治体サミット in 湯沢」にゲストとしてお迎えした伊勢谷友介さん、壇蜜さん、山崎亮さんをはじめとする方々は、非常に強い意志と意欲をもって、当サミットに参加してくださいました。伊勢谷さんは、映画監督・俳優として活躍される一方、「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?」と言う命題のもと、未来における生活を新たなビジネスモデルと共に創造していく活動を展開する株式会社リバースプロジェクトの代表も務めていらっしゃいます。
山崎さんは、人と人との繋がりを基本に、地域の課題を地域に住む人たちが解決し、ひとりひとりが豊かに生きるためのコミュニティデザインを実践。また、秋田県にゆかりをもつ壇蜜さんは、湯沢市の隣町十文字町に生まれ、幼少期を過ごしたことから秋田県に対する深い愛情をもち、かつその発展を願っていらっしゃいます。これらの地熱や地域活性に強い関心と知見をもつゲストの方々が、本サミットの開催主旨にご賛同いただいたことで、「地熱自治体サミット in 湯沢」はより魅力的なものとなりました。