−経営革新ステージとは
目次
はじめに
エコステージ協会は、組織(事業者)の成長を支援するため、段階的アプローチの手法を活用して 「経営革新ステージ」の開発を行いました。「エコステージ」は、「環境と経済の両立」を目的として開発された認証システムですが、経営革新ステージは、「組織の成長 (バリューアップ)」を支援していきます。
組織が、自発的に戦略策定からバリューチェーンの価値創造に取り組み、多くのステークホルダーから認められ、さらに成長していくことをねらいとしています。
筆者:ECOLOGライター(中山 安弘)
(この記事は弊社発行媒体「環境パートナーズ(2014年5月号)」より再編集して掲載しています。)
1.経営革新ステージ認証ガイドラインの目的
組織の経営のしくみの改善
どのような組織(事業者)にも経営のしくみがあり、管理されていますが、下記に示すような問題が散見されます。
○戦略、方針、目標が明確でない。
○戦略、方針、目標が共有化されていない
○戦略、方針、目標が達成されない
○計画が遅れる、実現しない。
○トラブル、故障、事故が多発・再発する。
○ルール・約束が守られない。 など
これらの原因は、経営のしくみ(マネジメントシステム)に問題があり、体系的なマネジメントシステム(注1)が構築され、運用管理されていないためです。
すなわち組織の現状分析、課題の明確化が不十分で、それを解決するためのPDCA(Plan:計画→Do:実行→Check:監視・測定→Act:見直し・改善。)のサイクルが回っていないことが原因です。
経営革新ステージ認証ガイドラインは、組織の経営のしくみを体系的なマネジメントシステムで継続的に改善するための道具です。新たなマネジメントシステムを導入することを意図していません。
1.2継続的な改善と第三者の評価(認証)が必要
戦略をしくみに落とし、体系的なマネジメントシステムとして改善し、それを継続的に運用することは容易ではありません。
一次的にコンサルタントの支援を受け、経営革新計画を策定しても、実行ができず、経営革新計画が達成できなかったり、策定した経営革新計画は達成しても、新規事業を含む経営革新計画が策定できず、経営革新が停まってしまったりという状態になります。
マネジメントシステムの継続的な改善には、第三者による定期的な支援と評価が必要です。経営革新支援の実績のある評価員と第三者評価委員会がマネジメントシステムの継続的な改善を支援します。
2.マネジメントシステム
2.1どのマネジメント分野(注2)にも適応
1987年にISO9001が制定され、1990年代は、日本においてもマネジメントシステムの導入ブームになりました。
1996年にISO14001環境マネジメントシステム規格が発行後、OHSAS18001労働安全衛生マネジメントシステム規格、ISO9001品質マネジメントシステム規格、ISO27001情報安全マネジメントシステム規格、ISO22000食品マネジメントシステム規格等、数々のマネジメントシステム規格が発行され組織に導入されました。
これらのマネジメントシステムの導入において、組織の経営のしくみの改善の道具として活用するのではなく、認証取得が目的となり規格ごとのマネジメントシステムが構築され、運用されるケースが多く、手間と金がかかり、効果が出ないという状況になっている場合が多くあります。
経営革新ステージ認証ガイドラインは、このような問題を発生させないよう、このガイドラインのみで、既存の経営のしくみを改善できるようになっています。
戦略マネジメント以外の分野のマネジメントができるようにシステムの改善ができ、組織がその証明を必 要とする場合は、第三者評価委員 会で審査し、構築、運用され、そ の効果が確認されれば認証書を発 行します。
2.2戦略マネジメントシステムを段階的アプローチで改善
効果的なマネジメントを行うためには、戦略をしくみに落とす必要があります。戦略マネジメントの要素を含む「体系的なマネジメントシステム」を構築が必要になります。最初から完璧なシステムに改善しようとすると、途中で挫折するか、マネジメントシステムの構築が最終目的になってしまう可能性があります。
経営の成果を出し、成長していくことが目的なので、事業者にとってもっとも重要な戦略および事業目的を達成するために必要最低限の要素の戦略マネジメントシステムを構築し、運用することでマネジメントシステムの必要性に気付いていただくことを目的としています。
そのために、経営革新ステージ1では、認識(自覚)、外部コミュニケーション、ドキュメント管理に関すること、事業継続計画、緊急事態への準備および対応、内部監査、継続的改善のガイドラインは除外しています。
経営革新ステージ2では、「統合ISO補足指針-2012年版」に準拠し、マネジメントシステムに必要なすべての要素を含んでいます。
戦略マネジメントの特有なガイドラインは、箇条番号を追加していますので、戦略マネジメントシステムが完成します。
また、他のマネジメント分野のマネジメントシステムを別に構築するのではなく、構築した戦略マネジメントシステムを改善し、そのマネジメントが出来るようになります。
経営革新ステージ3では、経営革新ステージ2と同様に、組織が必要とするマネジメント分野をマネジメントできるように改善、必要なマネジメント分野すべてをマネジメントする体系的総合マネジメントシステムが構築され運用管理できるようになります。
2.3経営管理項目(注3)の使用
各分野のマネジメントシステムの大部分は共通で、対象とする課題と期待するパフォーマンスが異なるのとその課題を達成するための手段・方法が異なるのみです。
課題が決まれば、期待するパフォーマンスと達成するための手段は決められるので、課題を明確にすることが重要です。課題の明確化は、漠然と行うより、マネジメント分野ごとに特定した方が具体的な課題が特定されるので、個別管理項目ごとに特定できるようしています。
これにより組織が決定したマネジメント分野の管理項目を特定し、目的、目標設定でその管理項目を反映させた目標実施 計画を策定、期待するパフォーマ ンスの監視測定、マネジメントレ ビューを行い、必要に応じてマネ ジメントシステムの改善を行います。
注1)体系的なマネジメントシステム
1.明確な方針と戦略を示す。←最高経営層の役割
2.方針・戦略実現の計画を立てる。(Plan) 課題を明確にする。
具体的な目標を設定する。
目標を達成するための具体的な計画を作成する。
3.計画を確実に実施する。(Do)
4.進度、実施状況を確認する。(Check)
経営層が見直しを行う。←最高経営層の役割方針・戦略が実現できない場合、原因(仕組みの問題点)を究明する。
しくみ(マネジメントシステム)の改善を指示する。
5.マネジメントシステムを改善する。(Act)
注2)マネジメント分野の定義(用語の定義3.08) マネジメントの対象とする分野注記1戦略、品質、安全衛生、環境、情報セキュリティ、財務、人事・教育、IT等のマネジメントすべき分野
注3)経営管理項目の定義(用語の定義3.08) 経営と相互に作用する可能性のある、組織の活動または商品又はサービスの要素。 注記1経営管理項目には、戦略管理項目、品質管理