世界の温室効果ガスの二大排出国であるアメリカと中国が「パリ協定」を批准した。消極的だった日本政府もこれに刺激されて、年内批准に向けて加速してもらいたいところだ。(TPPより重要な問題である。)
それにしても、最近の国内外の異常気象による被害は、“台風は来ない”と思われていた北海道、東北でかつてないほどの豪雨に見舞われ、多くの被害をもたらすなど、想定外のことが頻繁に起きている。遠く離れた南極では、4番目に大きい棚氷の表面に巨大な裂け目が生じ急速に拡大しているという。このまま亀裂の拡大が続ければ、巨大な棚氷が一気に崩壊、氷河をせき止めている氷崖が崩壊する最悪の危機に陥るという。
そうした中、9月4日NHK放映の「CRISIS 巨大危機 加速する異常気象との闘い」は、気候変動の脅威の正体を科学的に解明しその対策に迫る内容で、とても強烈なものだった。例えば、アラスカやシベリアなど北極で永久凍土が解け始め、CO2の28倍の温室効果があるメタンが溶け出しているという。この現象が温暖化のスピードに拍車をかけており、今後どの程度拍車をかけるか、その解明の為の調査が続けられているという。ここ2-3年気温上昇のスピードが加速されていることは聞いていたが、なるほど、である。また、雷の頻発と巨大化により、現在の避雷針では到底対応不可能になり、その影響で都市機能のみならず、病院などでもコンピュータ機能が一斉にダウンし人命にかかる非常事態に陥る、そんな予測も紹介されていた。IT社会ゆえの被害である。
夏の日中の気温が45度にもなり、巨大台風やゲリラ豪雨、落雷など、自然が猛威をふるい、巨大化し自ら制御しきれなくなっている社会システムがダウンした時、人間は生き延びていけるのだろうか。もう間に合わないかもしれない、そんな不安がよぎる。
「自分さえ」「今さえ」を優先して、「パリ協定」の早期批准に二の足を踏む人たちは、自分も、今も、危うくなっている現状を認識してほしい。そして、気候変動による被害者(本人は必ずしも自覚していないかもしれないが)が、国内でも急増している現実をしっかり見てほしい。