【参考情報】ポツダム気候研究所の研究者らがCOP21の合意内容を予測

東北大学 東北アジア研究センター中国研究分野 教授


 

みなさま 明日香です。ご参考情報です(けっこうおすすめだと自分では思います)。

 

ドイツのポツダム気候研究所の研究者らがCOP21の合意内容を予測し、結果と比較して予測の精度や方法論を検証するという壮大な研究プロジェクトを実施しています(下記論文)。単純に言えば、各国の各争点に関するポジションを条約事務局へのサブミッションなどで把握し、専門家に予想される合意結果に関するアンケート調査をし、それらを数理モデルを使って分析するというものです。

 

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ゲーム理論に基づいた数理モデル自体は様々な交渉結果の予測にすでに使われている普遍的なもののようです。方法論やモデルについての詳細はよくわからないのですが、ペーパーを読むと、少なくとも何が争点になっていて、それに対する各国のポジションはどうなっているのかが具体的に把握できます(特に論文3がおすすめ)。

 

また、その結論(サマリー、論文1。どの争点がCOP21で合意されて、どの争点がCOP21以降に合意が持ち越されるかなども予測しています)や専門家の見方(論文2)も、そんなものなのかなと何となく納得するものです。

 

サマリー

 

論文1(予測結果): Predicting Paris: Forecasting the Outcomes of UNFCCC COP-21 With the Predictioneer’s Game

論文2(専門家に対するアンケート調査結果): Predicting Paris: Forecasting Key Outcomes from COP 21 Using an Expert Survey. Oslo, CICERO

論文3(各国の各争点に対するポジション分析→争点やポジションがよくわかります): Forecasting the Paris 2015 UNFCCC Negotiations. The Exchange Model’s Analysis of Developments and Potential Obstacles to Reaching an Agreement

 

予測結果を見て思うところはいろいろあると思います。少なくとも「成功」や「失敗」という単純な二分法では評価しにくいものだということを認識すると思います。つくづく難しい交渉であり、難しい世の中なのだと思います。

 

 

 

この記事の著者
明日香 壽川

明日香 壽川

東北大学 東北アジア研究センター中国研究分野 教授
(あすか じゅせん) 東北大学 東北アジア研究センター中国研究分野 教授 東北大学 環境科学研究科 環境科学政策論 教授(兼任) 東北大学 文学研究科 人間科学専攻 科学技術論講座 教授(兼任) (財)地球環境戦略研究機関(IGES)気候変動グループ・ディレクター 1986年 東京大学大学院農学系大学院修士課程修了(農学修士) 1989年 欧州経営大学院(INSEAD)MBAプログラム修了(経営学修士) 1996年 東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程単位取得退学(2000年、博士号(学術)取得) スイス実験外科医学研究所研究員、(株)ファルマシアバイオシステムズ管理部プロジェクトマネージャー、電力中央研究所経済社会研究所研究員などを経て1997年から現職。ほかに朝日新聞アジアネットワーク客員研究員、京都大学経済研究所客員助教授などを歴任。第32回山崎賞受賞(2006年11月25日)

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