本当に知ってる?PM2.5の基礎知識③


第3回になります。PM2.5に対する私たちが取れる対策、またどのようにしてPM2.5のデータを取得するかなど、具体的なことも書いていますので、ぜひ最後まで読んでください。

 

 

Q7、最近PM2.5だけでなく、PM0.1というものがあり、それも問題になっていると聞きましたが本当でしょうか?

 

A、はい、近年重点的に注意すべきとの声もあります。

 

PM0.1とは、PM2.5よりもさらに粒径の小さい0.1μm以下の微粒子のことで、超微小粒子とも呼ばれています。PM0.1はPM2.5に含まれますので、別個の問題ではありませんが、より粒径の小さいPM0.1の方が、健康影響が大きいと考えられ、近年その増加が懸念され、重点的に評価すべきとの考え方があります。

 

PM0.1は質量濃度こそわずかですが、個数濃度や表面積で見るとPM2.5のほとんどを占めます。粒径0.1μm以上の粒子と比べて、呼吸器系の異なる部位に沈着することで健康影響を及ぼすとの報告もなされています。さらに、科学組成が同じ物質であっても、粒径が小さくなるにつれてその毒性が強くなることも考えられることから、健康影響の観点からもPM0.1に焦点を当てた観測・調査の必要性が指摘されています。

 

PM2.5は主に呼吸器系と循環器系(心血管系)に影響することが指摘されており、長期曝露による慢性影響として、肺がん死亡との関連性も指摘されています。

 

 

Q8、個人レベルのPM2.5対策として何ができるでしょうか?

 

A、PM2.5が高濃度になった時は、屋外での激しい運動を避けることが推奨されます。また、呼吸器系が弱い方は後述する対策をオススメしますが、それほど神経質になる必要はありません。

 

対策が必要となる基準として、環境省が設置した「PM2.5に関する専門家会合」では、1日平均値70μm/m3を、健康影響が出現する可能性が高くなる汚染濃度として定めています。1日平均値70μm/m3に達するか否かを判断する暫定的な指針値として、1時間値85μm/m3(5〜7時の平均値)、1時間値80μm/m3(5〜12時の平均値)を定めています。

 

呼吸器系の弱い方は、この値を超えた場合は、屋外での激しい運動を避けるのはもちろん、外出をできるだけ減らすこと。屋内においては換気や窓の開閉等を最小限にして、外気の侵入を少なくする必要があります。また、外出の際は、マスクの着用によりある程度の効果は期待できますが、効果は着用方法によって異なり、マスクと顔の隙間から漏れが発生するので限界があると言えるでしょう。

 

防塵用マスクとして市販されているものは、0.1μm程度の粒子に対しても除去が期待できますが、作業環境以外の場所で装着するのは現実的ではないでしょう。

 

なお、喫煙によっても大量のPM2.5が発生することを忘れてはなりません。締め切った室内では屋外よりはるかに高濃度に達しますので、効果的な換気や分煙対策が不可欠と言えます。

 

 

Q9、自分の住んでいる地域のPM2.5のデータは、どのようにして確認できますか?

 

A、PM2.5を始めとして、光化学オキシダントや二酸化硫黄、二酸化窒素など大気汚染の全国の状況は、環境省ウェブサイト「そらまめ君(大気汚染物質広域監視システム)」(http://soramame.taiki.go.jp/)より確認できます。

 

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そらまめ君では、首都圏のPM2.5濃度を色分けして地図上に示していますが、具体的なデータを表形式で確認することもできます。

 

ところでそらまめ君の画面をよく見ると、「そらまめ君に掲載されているデータは速報値であり、確定値ではありません!」と赤字で表示されていることに気づくと思います。このメッセージの意味は、PM2.5測定を実施している各地方自治体において、データの確認作業がまだ完了しておらず、今後確認作業を経て確定するため、データが修正される可能性があることを示しています。

 

また、そらまめ君を見ると、PM2.5のデータも、他の大気汚染物質と同様に、1時間ごとのデータが表示されていますが、実はPM2.5の場合は「参考値」の位置づけです。厳密な意味では、PM2.5は1日平均値しか保証されていないため扱えないのですが、世の中のニーズから参考値である1時間値が重要視されているのです。

 

さらにそらまめ君は24時間いつでもデータを表示していますが、時間差があり、リアルタイムの表示ではありません。よりリアルタイムなデータを知りたい時は、自分の住んでいる地域の都道府県のサイトをご覧になった方がいいでしょう。各都道府県のサイトには、環境省の「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」のサイトからリンクが貼られていますので、そちらで確認してみてください。

 

 

以上、全3回に渡りPM2.5の基礎知識についてクエスチョン形式でお答えしてきましたが、いかがでしたか?今後も編集部ではPM2.5に関する質問を受け付けております。

 

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