こんにちは。ECOLOG編集部です。
前回に引き続き、PM2.5について編集部に届いた質問に回答していきます。今回は3つの質問にお答えしていきます。
2分でわかるPM2.5はこちら
Q4、PM2.5は冬だけが問題なの?
A、PM2.5は冬だけが問題ではありません。
日本全国のPM2.5の年内変動パターンを見ると、月別平均濃度の最高地値は、春季(4〜6月)または秋季(10〜11月)に観測された測定局が多くなっています。従って全国的に見ると、先ほどお答えしたようにPM2.5は冬だけの問題とは言えません。PM2.5が特に冬の時期に問題として注目される地域は、西高東低の気圧配置となって北西の季節風が吹き、大陸から広域スケールの越境汚染が運ばれてくる可能性が高い九州等の西日本になります。一方東日本の都市域では、夏季にPM2.5の高濃度が出ることがあります。もちろん中国本土ではより深刻な状況にあります。中国ではエネルギーの約70%を石炭に頼っており、大都市の中心部以外では現在でも調理や暖房に石炭が使用されています。この石炭燃焼に由来する二酸化硫黄がPM2.5の発生源と推測されており、その対策(燃料転換、脱硫装置の設置)が進まない限り、冬のPM2.5の問題は当面続くものと考えられます。
なお、PM2.5報道が多かった2013年1月の特徴としては、例年になくシベリア高気圧が弱く、大気が安定(空気が上下方向に混ざりにくくなる)した状態で滞留し、中国東部でPM2.5が高濃度になりやすい気象条件であったことが指摘されています。
Q5、PM2.5は酸性雨の原因なの?
A、原因の一つにもなりますが、直接の関係ではありません。
酸性雨の原因となるのは、化石燃料の燃焼や火山活動などにより発生する二酸化硫黄(SO2)や窒素酸化物(NOx)等のガス状物質が、大気中の水や酸素と反応することによって、硫酸や硝酸などの強酸を生じ、降水を強い酸性にするからです。酸性雨とは前回の記事(リンク)で見た、物質が雲や降水に取り込まれて地表面に落ちる湿性沈着の他に、物質が降水を介さずにそのまま地表面に落ちる乾性沈着をも含めた総称として捉える場合もあります。PM2.5と酸性雨の関係でいうと、PM2.5は酸性雨の原因というよりも、酸性雨を構成する物質といった方が適当です。
Q6、PM2.5は光化学スモッグの原因なの?
A、PM2.5は光化学スモッグの一部を構成する物質と考えられます。
光化学スモッグとは、自動車や工場などから排出されるNOxと、揮発性有機化合物(VOC)とが、大気中で太陽からの紫外線を受けて反応し(これを「光化学反応」と言います)、この時に生成された「光化学オキシダント(オゾンを中心とする酸化性物質)」という物質や微粒子が空中にに停留したスモッグ状態を指します。この光化学反応により生成する微粒子は、ほとんどがPM2.5の範囲に含まれており、濃度が高くなった場合には、空が霞んで見えることもあります。またNOxやVOCなどの発生源があり大都市部では、光化学反応に必要な紫外線が強い夏季には、オゾンとPM2.5濃度が同じように上昇し、光化学スモッグが発生する場合もあります。これらにより、PM2.5は光化学スモッグの原因の一つとも言えますが、光化学スモッグを構成する物質の一つという方が適当でしょう。
今回は以上です。3回目もご期待ください。
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