インタビュー
2015.12.31

山田製作所の「徹底した3S活動」をベースにした環境経営<第4回>


企業の概要

会社創立:1959年
事業内容:製缶・板金製品の製造、 自動省力化機械の設計・製造
資本金:1,000万円 従業員数:16名
本社:大阪府大東市
EA21認証取得:2005年10月

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http://www.yamada-ss.co.jp/

筆者:ECOLOGライター(山田製作所株式会社 宇田 吉明)
(この記事は弊社発行媒体「環境パートナーズ(2014年7月号)」より再編集して掲載しています。)

3S活動取組みのきっかけ

平成11年1月、業績が低迷した一時期に、大阪産業振興機構の3S活動セミナーに参加し、3S活動に基づく工場の環境改善に着手しました。「よい現場は最高のセールスマン」「みんなで、守ることを決めて、決めたことを守る」を合言葉に、在庫を減らす、必要なものだけ買うといった努力を積み重ねました。

同年10月には、全員参加で「工場丸洗い」に着手し、天井と柱の塗装を行い、明るく楽しい雰囲気の工場に変身させることができました。

 

3S活動で年間250社が見学に

3S活動に取り組んで14年。 口コミで広がり、テレビで紹介され、月刊誌や業界紙などにも取り上げられ、いつしか3S活動ではその名が知られるようになり、毎週のように見学者が訪れるようになりました。

企業だけではなく、業界団体、海外からの視察などもあります。 こうして、「よい現場は最高のセールスマン」が実現しました。

 

3Sスローガン

3S活動を確実に推進するために、次のスローガンを掲げています。 社長から新入社員までこの考え方が染み込んでいます。

・まずやる ・全員でやる ・例外はつくらない ・理屈は言わない ・できない理由を言わない ・率先垂範 ・忙しくても止めない ・仕事を止める勇気を持つ

 

まずは清掃から

工場を21のエリアに区分し、3チームが場所を日替わりでグルグル回りながら朝の10分間清掃しています。 清掃する場所は床の真ん中ではありません。なぜなら、1作業1掃除が基本になっているため、1日に何回も清掃しているからです。

まず工場の隅っこから清掃し、上からエアーでホコリを飛ばし、ウエスで上から蛍光灯や梁を拭いていきます。 最後は床に膝を付きウエスで磨きます。

そして時計を外して裏を拭き、額を外して裏を拭く、そのような清掃を毎日移動しながら行っています。 このため山田製作所は年末の大掃除の必要がありません。

 

3S活動とEA21の活動

EA21認証取得当時は3S活動と環境がすぐに結びつきませんでした。 しかし、大型の資材からネジ・ナット類、ペン1本に至るまで、「必要なものだけを買う」という考え方は省資源につながることに気が付きました。

事務用品も共有化し、定位置化することで省資源と作業の効率化になります。また、金属板などの資材を定尺で買うと端材が発生し、ロスになります。 プレカットして購入することで、段取り時間が少なくなり、ロスも最小限となります。

さらに発生する端材が少なくなるので在庫が減り、その分、作業スペースが生まれて、作業効率が上がります。 その結果、短時間で仕事がはかどり、使用する電力も減るという3S=環境対策の方程式が解けました。

 

改善活動とエコポイント

全員が環境活動に参加できるように、改善提案を[エコポイント]で評価するしくみを考案しています。 改善提案が環境にどのように関わっているかを考えるよい機会にもなります。 たとえば、工具を改良することにより、作業時間が短くなれば電力の削減になりますし、不良品の発生率が下がれば廃棄物の削減にもなります。

毎月一人1件を目標に、各自が「エコポイント用紙」に記入します。 締切日に0件だった人は、翌朝の朝礼でその理由と次への志を発表することで、個人レベルでのPDCAを回しています。

 

新たな取組み

9年目を迎え、マンネリ化に陥りやすい時期に入っていますが、現状に甘んじることなく常に一歩前進すべくチャレンジしています。

①コピー用紙を再資源化して
自社の封筒にこれまで再生可能な紙資源はリサイクル業者に引き取ってもらっていました。自分で出した廃棄物はできるだけ自分で使うとの考えの下、紙資源再生サービスを手掛けている山陽製紙株式会社に依頼し、使用済のコピー用紙から自社の封筒に再生してもらいました。少しですが、リサイクルの輪に貢献したことになります。

②デマンド監視計による契約電力の削減
電力量の削減は限りがありますが、最大使用電力(デマンド)はまだ下げる余地があると考え、デマンド監視計を導入しました。 使用電力がどの程度か一目でわかり、設定値に近づくと、色と音で知らせてくれるので、確実に抑えることができます。その結果、デマンド値を93kWから69kWに削減し、年間約38万円のコストダウンにつながりました。

 

今後に向けて

3S活動も成熟期に入りましたが、改善活動には限界がないと考え、果敢にチャレンジしています。 3S活動をベースに全員参加で知恵を絞り、改善提案を行うことで環境、品質、安全に貢献し、利益の確保にもつながります。

 

審査人から一言

インタビューにも社員ひとり一人が自信を持って応えてくれていることが印象的でした。 3S活動をベースに環境、品質、安全がしっかりと組み立てられ、改善提案により、継続的改善が進められるといった、現場に根っこを張ったしくみこそが、企業に求められる環境経営といえます。 山田製作所はその好事例です。

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