村井索道(株)の環境経営のあゆみ


経営改善をめざし無我夢中で取り組んだエコステージIII活動の6年間

スクリーンショット 2015-12-16 16.59.22

はじめに

当社は石川県小松市北浅井町に所在し、創業は大正15年で当時は山林で使用するナタやクワなどの刃物を製造し、また山林から伐採した木材等を搬出する業務を主としていましたが、時代の流れとともに需要減少となり建設機械部品製造に職種変更し40数年、現在では社員50名、取引先では建設機械メーカーのコマツをはじめ日立建機様が主なお客様であります。

 

取扱製品は、ブルドーザーやパワーショベルの溶接板金品の製造が主力です。また、当社の経営基本理念として技術力を支える人間力と環境力の3本柱で「人」「モノ」と「品質」を大切にするMURAIとしてお客様に喜ばれる製品づくりに努めています。

 

われわれの業界では、コスト的には海外との競争力が、国内においても特色ある企業体が求められ、こうした要求に応えられない企業は淘汰されるたいへん厳しい環境が長年続いています。

そうした中で、いかに企業の特色を前面に出しお客様より信頼され、企業として生残りを図れるか。企業体質の強化が求められる中で、当社がこの6年間、経営改善をめざしEMSに取り組んできた内容について紹介します。

筆者:ECOLOGライター(村井索道(株)管理部・部長新保寛明)
(この記事は弊社発行媒体「環境パートナーズ(2014年5月号)」より再編集して掲載しています。)

 

経営方針とエコステージ活動の関連性と全員参加への意識付け

当社は8年前の平成19年3月に社長交替という大きな転機を迎え、それを機に全社員が必ず覚えることのできる一文字スローガンを掲げ、社長方針の意思疎通を図っています。

平成24年度は、安全・安心・安定の「安」という一文字を掲げその活動を中心に品質・納期・原価と活動を展開してきました。

 

一方、エコステージ活動の取組みは、平成19年4月にエコステージI活動を旗上げし、「3S」「見える化」を重点に活動し平成20年1月に認証、21年10月にはエコステージII、24年1月にはエコステージIIIの認証と、継続的に推進してきました。

それぞれのステップでは活動のねらいを持ちながら推進してきましたが、これらの活動の基本は「全員参加による、ムリ・ムダ・ムラの排除活動」で、この思いは現在もぶれることなく展開中です。

 

また、これらの活動の目標としては、初年度は3S活動と在庫削減を主に取り組み、年度ごとにその目標を追加し、現在においては5S・安全・在庫削減・品質・QCサークル活動・原価改善と環境に係るCO2削減など、われわれ企業経営に関わる全員に対し目標を掲げ、年度ごとの社長方針としっかりリンクさせた形でまさしく環境経営を実践しています。

これらの推進に当たっては、職制を活かした組織体を活用し風通しのよい機能性を重視した推進母体としています。

 

また、お客様からの要求事項に対し即応できる体制で取り組んでいるのも特色かと思っています。

これらエコステージ活動の全員参加の意識付けの一つとして、年度の目的・目標の周知方法として社内9カ所に掲示板を設置していつでも誰でも確認できるように 「見える化」し工夫しています。

 

また、2つ目の意識付け方法として年度ごとにテーマを設定し個々の意思表示として「私の宣言」をしていただき、会社の玄関口に掲示をして全社員はもとよりお客様来客時にも目にすることができます。

平成24年度は安全活動と家庭内での環境への取組みについてでした。さらに、エコステージ活動における報告に対しての周知方法として、当社独自のエコ新聞を発刊し、各掲示板に提示し周知を図っています。

 

EMS取組みへの背景とエコステージI活動

平成19年3月の社長交代時、新 社長は創業から85年あまり会社設立から40数年あまりの「古い体質を変革」したい、そしてそこに「社員一人ひとりのわき出る自然な笑顔を作りたい」という一心で何かいい方法・手段がないか模索する中、お客様からの要求として協力企業として生き残るには「環境への取組みが必須」であると指導を受けるとともにエコステージ活動の紹介を受けました。

 

その指導の中に環境経営をねらいとして、企業内のムリ・ムダ・ムラを排除し企業体質の変革と強化を図ると指導を受け今思い悩んでいる思いと合致し「よし!エコステージ活動」に取り組もうと決意をしたわけです。

 

活動の当初は整理に明け暮れる毎日でした。工場内に必要か不要かわからない、使うのか使わないのかわからない材料や道具、工具、何度も整理活動を行いその都度廃棄処理をしました。

 

次に清掃活動、設備の清掃やペンキ塗り、かたや床面を磨き上げるなど数カ月間がむしゃらに推進した結果、職場からは「この忙しい中3Sばかりやっていられない」や「こんなことまでやらなければならないのならリーダーを降ろさせて下さい」など一部から反発もありこれらの対応にたいへん苦慮いたしました。

 

とくに組織体の変更やリーダーの交代など、一時は破たん寸前の状態でありましたが3カ月間の計画の遅れが生じたものの、これらの危機を乗り越えることができました。

エコステージI活動の結果として3S活動の目的は「職場の環境改善で家族を職場に招待しよう」ですが、当初は掲示板一つをとってみても見にくい状況でした。そこで各職場に3S自主評価表を用いて査定し「きれい」を合言葉に活動し自主評価点で80点レベルと当初の目標を達成することができました。

 

この5S活動は今日現在においても継続的に安全・品質・納期・コストの基本であると認識し推進中です。

もう一点は在庫削減ですが、今までは在庫のあり方としていつでもお客様の要求に対応できるよう 「安全在庫」という考え方から発注や生産体制がロット単位であったことから現場は在庫の山でした。

 

今回整理整頓を徹底的に進めたことにより本来残るはずのない余剰材が目立つようになり、「この材料いつ使うのか」「いつの納期分」「何でこんな材料まで」といった具合に在庫としての問題点が見えて きました。

これら問題部品の発注 変更や生産改善に役立たせ、当初 目標をクリアし収益に大きく寄与し安全在庫から適正在庫への取組みが始まりました。

 

現場力のレベルアップをめざしエコステージII活動

エコステージIの認証後f各職場の現場力を見ますと今までとあまり変化がないことに気づき、各職場のリーダーのマネジメント力不足を痛感しました。

①目標意識が薄い②計画性に欠ける③報連相がうまくできない④リーダーシップが弱い、と問題点だらけで、中間マネジャーのマネジメント力のレベルアップが必要不可欠な状況でした。

マネージャーの指導力、管理力そして率先垂範を担うにはと考える中、それぞれのマネージャーがまずやるべきことを具体的に表現するために管理計画書に着手しエコステージII活動が始まりました。

 

しかし、簡単にはいきませんでした。当然管理計画書など作成したことがないことから、どんな風に施策事項を掲げていいかわからないとか、各職場のやるべきことやりたいことが表現できないなど、あげくの果てにはパソコンすら使ったことがない等問題点だらけで、パソコン教育から始まり各リーダーの抵抗を感じながら作成要領の教育を幾度となく実施し、自分達の意思を「見える化」する計画を作成することができました。

 

計画書作成のポイントは「何を・目標値」「どの様に・施策事項」「いつ・納期」「誰が・担当者」を明確にしてプロセスに対する進捗状況の把握をして、計画に対し実績はどうであったかをチェックし、問題があれば施策事項の追加などを行い、デミングサイクルをしっかりと回しレベルアップを図ってきました。

そして、これら各リーダーの思い(管理計画書)をいかに全社員に周知し活動に参加させるかが課題でもありました。

 

そこで考えたのがエコステージIの活動で推進した「見える化」でした。各部門の目標・施策事項や、実施状況の結果など周知することをねらいに全社の管理板と各4部門の管理板を各職場に設置し、いつでも誰でもが日常業務の中で目標を常に意識した施策事項の「見える化」をプロセス管理に役立たせ、こうしてPDCAのサイクルを回すことにより徐々に中間マネジャー自らの自信とマネジメント力が養われてきました。

 

それと同時に、それぞれ目標に対しての効果が顕著に現れ、小集団活動においても第1回社内QCサークル大会をも開催することができ、各職場の問題意識の感受性が高まり改善意識が芽生え始めました。

 

お客様からの高い評価

愚直にそして継続的に活動を推進する中、メーカーより「エコステージI・IIの認証取得を通じた現場改善により安全環境・管理レベル・品質管理レベルの飛躍的な向上を成し遂げ、他社の模範となる活動で他企業のレベルアップに貢献されました」と感謝状をいただき高い評価を受けるとともに、当社にとっては活動自身が間違っていなかったという大きな自信にもなり、さらなるレベルアップへの躍進力となっています。

 

さらなる企業体質強化に向けてエコステージIII活動への挑戦

ここまで無我夢中に取り組んできたエコステージI・IIの活動を振り返ってみると同時に当社にとって今、求められるものは何かを自問自答してみると、

 

1つは安心して任せられる会社であるか、法令順守や環境対応がどうかというお客様満足度!

2つ目は働きやすい・誇りが持てる会社であるかという従業員満足度!はどうか。

3つ目には法令順守や環境対応など世間への対応は!

 

と問いただしていくと、今まで活動してきたエコステージの定着性は当社を取り巻く幅広い活動となっているか?また、業務のプロセスが本当にきちんと機能しているか?さらには、こうした活動が次世代に対する教育やレベルアップが行き届いているかなどを勘案し、活動の中に定着させるべく、エコステージIIIへの挑戦を決意しました。

 

エコステージIIIにおける要求事項と当社の現状との評価から資材・役務の調達管理や営業管理・設備予防保全・物流管理などが不十分で今までのエコステージI・IIの活動をベースにさらなる活動の取組みをスタートさせ、調達管理活動ではグリーン調達ガイドラインを制定し当社協力企業30社のうち、重点業者を対象に第1回の業務連絡会を開催しエコステージ活動の推進を紹介するとともに品質や納期・安全に対する協力や指導を実施しました。

 

現在も半期1回開催し、当社を取り巻く関連企業様へも展開しています。そうした効果も徐々に現われ、品質不具合の低減や納期達成率の向上もさることながら、安全や品質管理に対する教育依頼などの要求が高まっています。

また、物流管理においてはフォークリフト運搬業務に際してハイブリッド車に変更し燃料費の削減はもとよりCO2削減にもつながっています。設備の予防保全においては、重要設備の始業点検や年次点検などの予防保全活動を主に取り組んでいます。

エコステージIII活動の全社的な環境パフォーマンス実績では、CO2削減や産業廃棄物の削減など平成23、24年と顕著に低減することができました。

 

また、産業廃棄物においてはゼロエミッション事業所として環境負荷への低減も実現しています。また、関係組織と供給者への連鎖においても協力企業への指導・教育によりSQCDにおいての改善が見られるようになってきました。

エコステージIII活動の取組みによってオール「村井索道」としてのレベルアップが図られたと確信するとともに、さらに企業体質の強化が図られたと思っています。

 

目に見える効果もさることながら無形の効果として平成20年から24年12月末までにおいて、それまでまったくなかった工場見学者が約30社150名と増大したことです。

工場見学が増えたことにより相乗効果として社員一人ひとりの職場への思い入れが強くなり、いつも 「きれい」で安全・安心な生産活動への意識変化が見られるようになってきたことです。

 

もう一つの無形効果として、女子事務員による「あいさつ運動」です。お客様を迎える心があっても見えませんが、ちょっとした「心づかい」は見えるはずの発想から、来客時には事務員全員で迎い入れの「あいさつ運動」が生まれました。

来社されるお客様からも「元気よくお迎えいただき気持ちがよかった」など高い評価をいただくようになり、お客様満足度アップの一助となっていると確信しています。

 

おわりに

当社にはまだまだ課題がたくさんあります。その一つとして今まで取り組んできたEMSを構築しつつ、次世代の若年幹部マネジャーの育成などさらなる飛躍を図るべく環境経営を貫き、お客様からの信頼度のアップと社員一人ひとりの笑顔の絶えない企業風土を作り上げて今後も萬進する所存です。

この記事の著者

あわせて読みたい

  先日5月6日に、一般社団法人日本環境測定分析協会から、「名誉会員証」が届きました。同協会は、1974(昭和49)年に当時の通商産業省と環境庁との共管のもと誕生した社団法人で…
  地球温暖化対策を真剣に進めるその背景に、とんでもない落とし穴があるとするなら、私たちはどのような行動をとるべきでしょうか。この後、「パリ協定」「ESG」「座礁資産」、さらに…
はじめに(「パリ協定」発効の行方) 2020年以降の地球温暖化対策の国際ルール、「パリ協定」の発効が有力となった2016年11月4日、日経朝刊9面には「脱炭素時代 幕開け」という大きな文字が、見…
1.はじめに 公害(環境)問題の解決に取り組んできた者にとっ て、1972 年に出版された「成長の限界[1]」の警鐘は、 強いショックとインパクトを与えたに違いない。同じ 年…
環境コミュニケーションズ