富山市エコタウン事業における産業廃棄物処理と高効率発電


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まとめると

あらゆる廃棄物をゼロにすることをめざす『ゼロエミッション構想』を基軸に、地域の振興を図りながら環境と調和したまちづくりを推進する事業に関して、概要や今後の課題について記載しています。

筆者:ECOLOGライター(相澤 一郎)
(この記事は弊社発行媒体「日中環境産業 (2013年11月号)」より再編集して掲載しています。)

 

 

はじめに

「アイザックエネルギーセンター」は富山市の資源循環まちづくり『富山エコタウン構想』に基づき進められているエコタウン事業プランのうちの一つであり、エコタウン内で発生する廃棄物はもとよりその他の企業から排出される廃棄物を焼却処理することで、富山市エコタウンおよび地域におけるゼロエミッション化を図ると同時に、発電による電気や温水などのエネルギーの供給事業を行っている。

加えて、廃棄物を焼却処理した際に発生する排熱を高温熱から低温熱まで徹底的に利用して、循環型社会形成の推進と地球温暖化防止に寄与することを目的としている。

 

「富山市エコタウン構想」への貢献

「富山市エコタウン構想」とは、あらゆる廃棄物をゼロにすることをめざす『ゼロエミッション構想』を基軸に、地域の振興を図りながら環境と調和したまちづくりを推進する事業であり、地域の独自性を踏まえた廃棄物の抑制・リサイクルの推進により、既存の枠にとらわれない、先進的な環境調和型まちづくりとしており、平成22年夏に完成したアイザックエネルギーセンターは、進化した産業廃棄物再利用で富山市エコタウン構想の事業に大きく貢献している。

 

施設の概要

センターの特徴としては、次世代型として注目されている「(特許)ガス化燃焼方式(キルン・ストーカ炉、)」(設計・施工:月島環境エンジニアリング(株)、焼却炉能力135t/日)の導入によって、これまで処理困難とされた多種多様な廃棄物を安全かつ安定的に燃焼している。

さらに、廃ペイント、廃接着剤、タール状油泥などを主体とした廃棄物をドラムごと破砕して焼却炉に投入する「ドラム破砕システム(」設計・施工(株)IHI環境エンジニアリング、)で安全に破砕し、その後、ピストンポンプで炉内に安定供給することで発生する燃焼エネルギーを排熱ボイラーにて高効率に回収し、廃棄物発電としては驚異的な発電端効率15.6%を達成している。

その結果、最大で4、000kWを発電し、そのうちの約3割は自工場内の総電力を賄い、余剰電力は外部に売電している。

加えて、発電で使用した後の低温排熱も汚泥乾燥装置の熱源として使用すると同時に、水と熱交換して温水をつくり隣接企業に供給するなど、高温熱から低温熱に至るまで徹底して利用することで、循環型社会形成の推進と地球温暖化防止に寄与することを念頭においた環境配慮型の焼却施設である。

その結果、削減されるCO2は約16、000t-CO2/年であり、環境省の「廃棄物処理施設における温暖化対策事業」の対象施設として採択されている。

 

事業の内容

●名称:(株)アイザック環境事業本部エネ ルギーセンター
●所在地:富山市松浦町9番10号(富山市エコタウン内)
●敷地面積:26、106.11m2
●建設面積:6、072.71m2
●建物:焼却・発電棟、分析・保管棟、 ドラム保管庫、廃液貯槽棟、ポ ンプ室、事務所棟
●事業内容:廃棄物エネルギーリサイクル事 業(廃棄物焼却システム、ドラム破砕システム、発電、乾燥、温水供給)

 

処理対象物

当社の処理対象物は下記のものがある。

①産業廃棄物では燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、 紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、ゴムくず、金属 くず、ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず、がれき類、ばいじん
②特別管理産業廃棄物では、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、ばいじん、感染性廃棄物 3汚染土壌(第一種特定有害物、第二種特定有害物、第三種特定有害物)

 

前処理施設

A.ドラム破砕システム(破砕・ミキサー・ポンプ)の導入による作業の安全 廃油などのうち、18L缶や200Lドラム缶入り固形物、グリス・ワックス、塗料粕等の廃棄物は、粘性が高く引火性があって容器に固着していることから、容器から取り出す際に作業現場で火災事故が発生する危険があるなど、きわめて取り扱いが難しい。

また、取り出した後も引火性がある場合、成分の均一化が困難で、燃焼速度が遅過ぎたり過激すぎたりするなど、その燃焼コントロールがたいへん難しく、焼却処理業者から処理困難物として敬遠されている。

そのようなドラムなどの容器入り廃棄物を破砕、ミキシングした後にポンプで定量的に炉内に圧送するシステムを導入したことにより、破砕後の廃棄物を設備外に出さずに、安全に取り扱うことが可能になった。また、廃棄物のカロリーを均一化し安定的に焼却炉内に投入することもできる。

B.ガス化焼却システムの導入による環境対策今回ガス化燃焼方式という先進的な次世代型の燃焼技術の導入によって、従来処理困難物とされていた廃棄物を安全かつ安定的に燃焼することが可能になり、ドラム破砕装置から焼却炉への投入割合を飛躍的に高めても安定した燃焼が可能である。

また、キルン内でガス化したガスを二次燃焼炉で燃焼させるため、燃焼後に含まれる一酸化炭素や二酸化窒素の濃度はきわめて低い。そのため、従来型の焼却炉に比べダイオキシン類発生の抑制や二酸化窒素の抑制などさまざまな点で環境影響を軽減化している。産業廃棄物は製造の過程・方式によって、あるいは業種によって性状が大きく異なる。また、入荷形態がまちまちであるため、焼却するに好ましい一定の条件になりにくい。

そのように、性状がまちまちな廃棄物を焼却しようとすると炉内での燃焼速度に差ができ、急に燃え出して燃焼を抑えることができず、キルン内の温度が上がり過ぎて炉内耐火物を損傷したり、クリンカーを生じたり、また、燃え残ったりして取り扱いがたいへん厄介であった。

当該施設では、優れた回転摺動部シール機構を備えたロータリーキルンのガス化燃焼方式によって、空気の流入量を抑制することで、炉内での焼却量を一定化し、炉内燃焼負荷の変化を抑えることで、炉内に投入する廃棄物の変化に対応している。

ガス化燃焼で残った残さ、たとえば炭状物等のように燃焼に時間を要するものに関しては、後燃焼ストーカを備えストーカ上で時間をかけて完全焼却処理している。
また、二次燃焼室ではガス化燃焼で発生した可燃ガスや、後燃焼ストーカ炉からの燃焼ガスをタンゼンシャルに供給される燃焼空気によって撹拌燃焼しており、その結果、二次燃焼炉から排出されるCO2の濃度はほぼ1ppm以下に保たれている。

燃焼を終えた排ガスは、排熱ボイラーで熱交換して蒸気を発生させ、蒸気タービンで発電させている。

また、発電後の蒸気は乾燥機の熱源として使用したり、温水供給に使用しているまた排ガスの処理は、バグフィルターを2段設けることによってばいじん類を通常効率の2乗に比例して除去することで環境負荷低減に配慮している。

その後、触媒反応塔を設け、さらにダイオキシンの除去を行っている。煙突の出口では排ガス自動監視装置にてリアルタイムに排ガスを監視し、排ガスの状態が常に安全であることを確認している。

 

課題

廃棄物の処理に関して、安心、安全に加えて、排熱利用などの方法でCO2の削減を求めようとすると、処理施設のイニシャルコスト、ランニングコストともに通常の処理設備以上に必要となる。

加えて、廃棄物を取り扱ううえにおいては、さまざまなノウハウを必要とし、その管理のために処理原価がかさむのは避けられない。

また、廃棄物発電を行う場合、電力会社に比べて小規模であるため、売電単価が高くならざるを得ない。処理コストを軽減する努力は必要不可欠であるが、単純なコスト競争のみの波にさらされると、処理コストの削減のみに走ってしまい、結果、安心、安全、CO2の削減を見据えた設備が、価格競争の波に追い払われてしまわないかが懸念される。

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