こんにちは、ECOLOG編集部です。今月は「オゾン層保護対策推進月間」です。オゾン層保護対策って何をするの?そもそもオゾン層って保護必要なの?という疑問にお答えするために改めてまとめました。
オゾン層保護対策推進月間とは?
オゾン層保護対策推進月間とは何かというと、
1987年9月16日に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されたことにちなみ、毎年9月1日~30日の1か月間を「オゾン層保護対策推進月間」として、国、地方公共団体等において、オゾン層保護・フロン等対策に関する啓発活動を集中的に行っていく期間のことです。
オゾン層は太陽光からの有害な紫外線を吸収して、地上の生物を守っていますが、フロン類はこのオゾン層を破壊し、なおかつ地球温暖化も促進してしまう化学物質です。このフロン類を大気中に排出しないための対策は、オゾン層保護のみならず地球温暖化防止のためにも重要であり、この月間においては、その対策への協力と理解の浸透、取組の促進にECOLOGも努めていきます。
オゾン層や紫外線に関する基礎知識
健康を始めとした私たちの身近な生活や、女性には重要な問題であるお肌などにも関わってくるお話ですので、主婦の皆さんも一度チェックしてみてください。
目次
オゾンはどのように生成されるのか
ではオゾンはどのように生成されるのでしょうか?
オゾンの分子(O₃)は3つの酸素原子から構成されています。主として地球の成層圏で、酸素分子(O₂)に対する太陽紫外線の作用によって形成されます。また、オゾンは地表面近くでも、大気汚染物質に対する紫外線放射の作用によって局地的に生成されます。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part1_sanko_1.pdf)
オゾン層と太陽紫外線の関係とは
地表に到達する太陽紫外線は、オゾン層の影響を受けます。太陽紫外線の一部はオゾン層で吸収されるため、一般的にオゾン層のオゾン濃度が低いほど地表の紫外線量は高く、逆にオゾン濃度が高いほど地表の紫外線量は低くなるという関係があります。つまり、オゾン層が有害な紫外線から私たちの体を守ってくれているんですね。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_chapter1.pdf)
オゾン層量の過去30年間の変化
1980年代以降、成層圏のオゾンは減少しています。地球全体の平均で見ると、2010~2014年のオゾン全量は1980年以前と比べると低緯度域を除いて3~4%低くなっています。南半球の高緯度域では、春季にあたる毎年10月頃に大規模なオゾン層破壊が起こっています。オゾンは年々少なくなっていて、さらに少なくなるスピードも上がっているようです。
参考:環境省:(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part1_chapter3_3-1.pdf)
地表に届く紫外線量はどのような要因で決まるのか
太陽からの紫外線は、地球の大気圏を通ることで部分的に吸収されます。吸収される量は、大気中のオゾン全量の影響の他、大気圏を通る太陽光の経路によって決まります。例えば、太陽高度が低いほどオゾン層を斜めに通過するため、オゾンによる吸収の影響を受けて大きく減少します。また、太陽高度が高いほど一般的に紫外線量は多くなります。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_chapter1_128-132.pdf)
UVインデックスとは
UVインデックスは、人体の日焼け(紅斑)に関係する紫外線の強さを分かりやすく表すために利用されている指標です。UVインデックスは、1から11+の値で表されます。数字が少ないほど弱く、高いほど強いということになります。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_chapter1_125-127.pdf)
インデックスはどのような要因で変化するのか
UVインデックスの変動を引き起こす主要な要素としては、オゾン全量や太陽高度の他、エアロゾル(大気中に浮遊する微粒子のこと)、大気汚染物質、雲量、標高、地表反射率が影響します。エアロゾルや大気汚染物質は紫外線を吸収・散乱するため、エアロゾル等が多いと地表に到達する紫外線量は少なくなります。雲は太陽光を遮りますが、散乱効果により紫外線を増加させることもあります。また、標高の高い所では、大気の層の厚さが薄くなるため、紫外線量が大きくなります。雪の積もった地面などでは、反射のためUVインデックスの数値は高くなります。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_chapter1_128-132.pdf)
UV-B放射、気候変化、人間活動の間の相互作用は大気汚染にどのような影響を及ぼすのか
大気中の汚染物質は地表近くで紫外線を減少させる可能性がありますが、その一方で、汚染物質による散乱効果で紫外線を増加させる原因となる可能性もあります。化石燃料/植物燃料の燃焼に起因する汚染物資や気候変化に起因する汚染物質と紫外線放射の相互作用は、人体や植物に対するオゾンの影響を悪化させると見込まれています。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_sanko_2to5_159-163.pdf)
紫外線による人や環境への影響
では、紫外線はどのような影響をあたえるのか、人の体と環境の二つの側面からに説明していきます。まずは人の体について説明します。全てを網羅してしまうととても読みにくいと思いますので、一部を取り上げます。
人の眼への影響
紫外線による眼への影響として、強い紫外線のばく露を受けた数時間後に発生する急性の紫外線角膜炎(雪目)があります。また、低い紫外線のばく露を長時間に渡り繰り返し受けた場合の慢性的な影響として、白内障や翼状片が知られています。慢性的な紫外線ばく露による白内障は不可逆性があり、手術を必要とする重大な視力喪失につながることもあります。
人の皮膚への影響
皮膚が過剰に太陽紫外線にばく露すると、日焼けが誘発されます。太陽紫外線を浴び続けることで、シミやしわといった光老化現象や皮膚がんを引き起こすことがあります。
人の免疫への影響
紫外線は、病気から人体を守る免疫反応を抑制する働きを持っています。このため、感染症や皮膚がんへの免疫反応が抑制される可能性があります。ただし、自己免疫疾患の一部には有益な影響を与える可能性もあります。
ビタミンの生成
紫外線を浴びることにより、皮膚ではビタミンDが生成されます。ビタミンDは、骨の成長や発育及び維持に役立つ他、がん細胞の成長を阻害する作用があるという研究結果もあります。
気候変化と紫外線による人の健康への影響
現時点では、紫外線による人への健康影響に対して、気候変化がどのような影響を与えるかについては不確実性があります。気候変化によって、陸域生態系や水圏生態系に対する紫外線の影響が変わることで、食料の量や質が変わり、結果として人間の健康に影響を与える可能性があります。また、気候変化に起因する大気汚染の変動が健康に影響を与える可能性もありますが不確実です。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_sanko_1.pdf)
次に環境に対しての影響です。こちらも一部のみを取り上げていますのでご注意ください。
陸域生態系への影響
UV-Bは植物の生長に対して負の影響を与えますが、植物の種類によって影響度は異なります。ほとんどの植物は、UV-Bの影響を低減させるためのメカニズムを持っています。例えば、紫外線を遮蔽するための化合物を合成したり、葉を厚くしたり、葉を保護するワックス層を変化させる方法などです。なお、UV-Bによって誘発される植物組成の変化は、植物を食べる動物や微生物を通じて生態系に影響を与えると指摘されています。
水圏生態系への影響
UV-Bは水圏生態系に対して生産性の低下や生殖機能障害、発育障害に最も影響を与えていることが分かっています。UV-Bは透き通った海水や湖水の中では相当な深さまで浸透し、水圏生物に影響を与えます。また、気候変化によってもたらされる環境の変化がUV-Bによる水圏生態系への影響を変えることも指摘されています。一方で、大気中のCO₂濃度の増加によって、水圏生態系が持つUV-Bの影響を低減させるためのメカニズムが阻害される例が報告されています。
大気質や生物地球化学的循環への影響
UV-Bの変化は、大気の化学組成に複雑な影響を与えます。このため、UV-Bの変化は生物圏全体に影響を与え、結果的に地球上の人間を含むすべての生物に影響を与えると考えられています。
材料への影響
様々な天然素材(木材、羊毛等)や人工合成材(プラスチック等)は、UV-Bにより光劣化が起こり、変色や強度の低下などの損傷が促進されます。気候変化によって地表面の気温が高まることで、光劣化の反応がさらに進むと考えられています。
参考:環境省(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_sanko_2to5_154-155.pdf)(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_sanko_2to5_156-157.pdf)(http://www.env.go.jp/earth/ozone/qa/part3_sanko_2to5_158.pdf)
オゾン層と地球温暖化
最後にオゾン層破壊と気候変化は関係しているのか、ということについて。ここまで読んでいただいた方は「関係がある」と思っていただいていると思いますが、まさにその通りです。オゾン層破壊をもたらすオゾン層破壊物質は温室効果ガスでもあり、気候変化に影響を与えています。また、気候変化がオゾン層破壊に影響を及ぼす一方で、オゾン層破壊が気候変化に影響を与えているとの指摘もあります。
私たちが身近でできること
私たちがオゾン層破壊を防ぐため、簡単にできることはというと、この2つです。これだけでも非常に有意義な取り組みだそうです。
①フロン類を出すものをなるべく使わない(エアコン・冷蔵・冷凍庫など)
②ノンフロン製品をなるべく使用する(最近開発され、少しづつ普及しているそうです)
非常に長い記事になってしまいましたが、いかがでしたか。ECOLOG編集部が思う最も重要なことはまず知ることだと考えています。ECOLOGも、もっと情報をわかりやすくお届けできるよう、今後とも努力していきます。