【中国ビジネス超入門】中国人との交渉力を磨こう


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こんにちは、ECOLOG(エコログ)編集部です。

今回は環境問題とはあまり関係ない分野の記事ですが、読者の方には、中国を始めとした、アジアとビジネスを行っている方も多いので、あえて載せたいと思います。

筆者:ECOLOGライター(平沢 健一)
(この記事は弊社発行媒体「日中環境産業 (2013年11月号)」より再編集して掲載しています。)

 

 

交渉に入る前のポイント

欧米人とさまざまな交渉をした後ロンドンから北京に赴任し中国全土をほぼ回って感じたことは、このモザイクのような国でビジネス交渉を進めることは尋常ではないということであった。

日本の26倍の面積に55の少数民族と漢民族で13.5億人が住んでおり、欧米以上に地方ごとの特色や気質が異なることに驚いた。為政者がこの国を統治する難しさを感じると同時に、この国では交渉に入る前の準備がいかに大切かを学んだ。

今回の尖閣列島問題では、はからずもこの面で日本側の準備、説明が不十分で中国側が理解できず、今でも“落とし所”がみつからない深刻な状況だ。中国は「国有化」を日本の「実効支配強化のため国が直接乗り出してきた」と受け止めたとしか考えられない。

このような大きな問題を、両首脳による短時間での立ち話で済む問題ではなかったし、10年に一度という政治の節目の重要な時に、政争も絡んで“面子”を失った中国の怒りが問題を増幅している。

 

中国人とビジネス交渉を行う8ステップ

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(1)事前の調査研究まず、よい関係づくりのため、客観情勢をよく調べ、記録し、作戦を練る。
幸い中国に関する情報は溢れるほどあるから、体系的にファイルし研究することが大切だ。今回、中国通も多くいる官僚たちに何が起こったのだろうか。ことに7月初旬から9月の間に生起したことは、長く中国を研究している筆者には到底合点がいかない。

 

 

(2)相手との距離を縮める中国側の困ったことをまず解決しておく。
性悪説を腹に収め、相手の不信感を取り除いておかない限り相手との距離は縮まらない。人脈といえる関係を築くまでには少なくとも3年はかかる。その人が入ってきたら、ほかの中国人が話を止め「おっ!」と言われる経歴が必要だ。

観相術に長けている中国の人たちは、この経歴と中国での経過や態度を見ながらその日本人を値踏みしていく。交渉開始前に非公式なルートを探し、そこから交渉相手の動向を知っておくことも効果的だ。中国人の交渉相手は世界的なビジネス情報を持っていないことが多い。

こうしたことをていねいに伝えることで人間関係が深まり、国家行事に招待され人脈が深まったりする。この効果は計り知れないし、まず社内の中国人がたいへん喜んでくれる。

よく日本人のトップクラスで中国の要人と2~3回宴席で酒を飲み交わし、宴席上手な中国人にうまく乗せられて「老朋友」と言われ舞い上がってしまう人がいる。こうした人が相手の中国人の思う壺にはまって、後日、失敗してしまう例を多く見た。

 

 

(3)交渉場所と接待、プレゼント交渉相手はあくまで同等の人をそろえ、初めから格上の人を投入しない。また会合の場所にも配慮する。
テーマが深刻で怒鳴りあう場面が想定されるときは社内の会議室を避ける。通訳も日頃から訓練して最悪に備え、事前に交渉相手に会わせておくことも考えた方がよい。

また、宴席にはビジネスの話は極力持ち込まないことだ。プレゼントは誠実で心のこもった家族向けのモノがよい。歩数計や血圧計も喜ばれるが、奥様用の化粧品など工夫を凝らそう。

 

 

(4)明確な戦略の準備交渉の捉え方では、日本人や欧米人とまったく違うことを承知しておくことが大切だ。
交渉前には明確な戦略―交渉のルールや目標、複数の譲歩案を用意しておく。タイムリミットを最初から合意しておくことも大切だ。中国のことわざに「貸比三家(価格や条件は三軒で比較)」がある。相見積りなど必ず3カ所から取って、それぞれを分析して交渉に臨む。

 

 

(5)交渉の時間感覚中国での滞在スケジュールは大まかに伝えてもよいが、一日くらい短く伝えておく方がよい。
最後の土壇場で一気に勝負になるケースもあるから余裕を持って交渉に臨むことだ。また、「大きな市場と交換に技術をよこせ」が中国の方針だから、技術情報をどこまで知らせるか、事前に決めておく必要がある。

中国人は長いスパンで見ようとする時間延ばしの名人だ。交渉が進むと質問と要求の嵐になることがある。この場合、決定権者はだれかを探っておくことだ。また、日本人とは異なる時間感覚の持ち主であることを忘れてはならない。

 

 

(6)相手を知る中国人は、相手国によって交渉スタイルを変えてくるといわれている。
日本人に対する中国人の不信感は残念ながら欧米人に対するより大きい。反日教育の影響で有識者や若者に多いことが深刻だ。だからこそ相手を知り、ていねいに時間をかけて対応を進め信頼を得ていくことが大切だ。

相手の日本人がどの程度の人間か、好奇心と観相術を身に付けた中国人はまず相手を値踏みする。国営企業時代から集団生活を送ってきた人達だから、集団内の噂や妬みが異常なほど多い。それだけに集団内の事情を気にして判断しようとするし、相手にもそれを求める。だからこそ、常に裏を取り書き出しておく。

 

 

(7)論理的な回答の重要性中国人の質問はよく聞いてあげなくてはならない。
しばしば長時間にわたり質問し、その後得た回答をさらに分析し、そのうえで相手に圧力をかけてくることが多い。それだけに積極的に傾聴し、極力彼らの要求を満たし、こちらも譲歩しなくて済む主張をしなくてはならない。論理で攻めてくるから、証拠の裏付けのある論理的な回答と情で返していくことがよい。

日本流の起承転結の説明は中国人や欧米人に嫌われる。初めに結論の序論、次に本論(理由や理屈を三本)、最後に結論という演繹的な回答が中国人には心地よい。

 

 

(8)恫喝や不意打ちに応じない中国人との交渉ではしばしば恫喝もされた。
こうした人は異口同音に「中国のことは中国人が一番知っている」と言って相手を威圧してくる。こうした人には恫喝で応じないことだ。

恫喝は中国人の伝統文化で、空気のようなものと割り切る。「ほら来た、来た。」と思ってあっけらかんとしていればよい。その場で譲らず最後まで諦めない粘り腰が求められる。そうした忍耐力のある人や会社、結果を中国人は高く評価する。

不意打ちや居丈高戦術を取る場合もあるから自分達も逆に仕掛けることも考えてみることだ。交渉終了後、敗れた相手の恫喝した中国人がケロッとして何もなかったように関係を継続できるのも中国人との交渉のおもしろさでもある。ただし充分、先方の面子を考え抜いてあげねばならないのは言うまでもない。

 

 

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